こんにちは!ココモの唐土です。
「保険をかけとこう」という言葉が日常的に使われます。人間社会特有の「助け合いの精神」から生まれたこの「保険」という制度、ほとんどの方が何らかの形で利用されてますね。今回は「個人」ではなく「法人など」が利用する「保険制度」についてです。
Q.法人にとっての保険の役割って?
A.「組織」を「人間」に例えることはよくしますが…役割では、頭、手・足、目・耳・鼻、血液、場面では新陳代謝、世代交代、相続…
個人で保険が機能するのは、怪我したとき、病気のとき、子供の教育資金に、休職に備えて、住宅ローンに、大切な家族の為に、相続対策に、何かが欠けたとき、計画的な蓄えなどの準備として…
…はい。会社などの組織にとっての保険の「役割」も似たようなところが多そうです。
法人にとっての生命保険といっても・・・
法人が死亡したら…というのではないです(^_^;)
法人が契約するといっても、役員や従業員を対象としてということです。会社運営での生命保険も、先ほどの「家庭でのいざというときの支え」や「計画的な準備」として機能します。
経営者の死亡(企業防衛)
特に中小企業は経営者の手腕によって維持されていることが多いことから・・・
経営者の死亡時に必要な資金
そんな中小企業の経営者に万が一のことがあった時に必要とされるものをいくつか見てみましょう。目安になる計算式に実際の数字を当てはめると、必要な準備の目安が見えてくるのではないでしょうか。
- 事業保証資金
- =短期借入金相当額
+従業員の年間給与総額
- =短期借入金相当額
- 死亡退職金
- =死亡時の役員報酬月額
×役員在任期間
×功績倍率(社長・会長では2.5~3.0倍 [1]倍率に決まってなく社長・会長の場合これくらいが多い-FPジャーナルより- )
- =死亡時の役員報酬月額
- 慶弔金(業務上死亡)
- =死亡時の役員報酬月額
×36カ月
- =死亡時の役員報酬月額
- 慶弔金(業務外死亡)
- =死亡時の役員報酬月額
×6カ月
- =死亡時の役員報酬月額
役員退職金の例
退職する際に大きな現金を持ちだすと、かわいがって育てた会社、後継者、社員が困ってしまいます。そうならないよう早めからコツコツ時間をかけた退職金の準備ができるもののひとつが保険の制度です。もっとも、退職のタイミングで持ち出せる現金が無ければ退職金どころではないですね。
- 役員退職金
- =役員最終報酬月額
×役員在任期間
×功績倍率
- =役員最終報酬月額
どんな保険なの?
会社で生命保険に入るといっても、実際には役員や従業員を被保険者として生命保険に加入します。個人契約の保険料は一定範囲で年末調整や確定申告時に控除としての税効果ですが、会社の場合は半額や全額などを「損金(経費)」として、のこりを資産として処理(仕訳)します。
会社で保険を掛ける特徴
保険料が(保険の種類やかけ方によって)損金(経費)になります。
- 全額、半額など保険や契約による
- 税引前利益を圧縮(簿外資産 [2]正規の会計処理を経て経費などとして帳簿上は消滅したが、価値が残っているもの。工具などの消耗品、機械設備や建物など償却済でも使用できるものを形成)できる
- 資金繰りに困った時利用できる
何て名称の保険?
以下の様な保険を活用することが有効とされます
- 定期保険
- 1/2損金
- 長期的な保障
- 簿外資産(含み益)形成
- ピークの期間が比較的長期
- 長期平準定期保険
- 全額損金→解約返戻金は全額損金
- ピーク後は返れ率が低くなっていく
- 死亡以外に障害に対応した保険もある
- 逓増定期保険
- 1/2損金[3]逓増定期保険: 保険期間満了時の被保険者の年齢などにより、保険料を損金に算入できる割合が1/3、1/4、全額など様々設定がされている
- ピークを4~20年後に設定するとピークの返戻率が90%以上確保できることが多い [4]保険会社と年齢による
- 保険期間を通して保険料は変わらない
FPとしてのアドバイス
実際に検討される際には、保険に現金をつぎ込むと運転資金を圧迫しますので、無理がないように、また、退職金準備なのか、運用目的なのか、いわゆる保険としての必要性なのかなど、将来の対策に合わせた保険を選ぶ必要があるでしょう。
注釈
1. | ↑ | 倍率に決まってなく社長・会長の場合これくらいが多い-FPジャーナルより- |
2. | ↑ | 正規の会計処理を経て経費などとして帳簿上は消滅したが、価値が残っているもの。工具などの消耗品、機械設備や建物など償却済でも使用できるもの |
3. | ↑ | 逓増定期保険: 保険期間満了時の被保険者の年齢などにより、保険料を損金に算入できる割合が1/3、1/4、全額など様々設定がされている |
4. | ↑ | 保険会社と年齢による |